パニック障害になって初めてわかった辛さ
パニック障害になるまで、私はこの病気のことをほとんど知りませんでした。いざ発症すると、こんなにもツラいものなのか、と思わずにはいられませんでした。
何が起こっていて、どういったツラさなのか。
これは発症したことがない人には、とても理解しづらいだろうと感じています。今回は私の実体験と勉強した知識から、改めてパニック障害について説明してみたいと思います。この記事を読んで何か気づきがあり、少しでも理解が深まれば幸いです。
100人に1−3人はかかる病気
パニック障害は、決して珍しい病気ではありません。100人に1人から3人の割合で、このパニック障害を患うと言われています。また、芸能人の中にもパニック障害を経験する人は多くいます。歌手・俳優の星野源さん、KinKi Kids堂本剛さん、元プロ野球選手の長嶋一茂さんや小谷野栄一さん、美容家のIKKOさんなど。
パニック障害は誰しもなり得る病気であり、珍しいことではない。
これは、私のような当事者には勇気をもらえる事実。また、当事者でない方にとっても、少し知っておいても損はない病気だと言えるのではないかと思います。当事者でない方に、多大なサポートをしてほしいとまでは言いません。ただこの病気について、少しだけでも理解して頂ければ幸いです。
そんな方が1人でも増えると、大変ありがたく思います。
症状は大きく3つ+1つ
パニック発作
突然、何の前触れもなく、下記の症状に襲われるのがこのパニック発作です。
- 動悸や息切れ
- 強烈な不安
- 目まい
- 異常な発汗
- 手足の震え など
それも、何度も繰り返しあらわれるのが特徴です。パニック障害と言われるだけあって、この発作が最大の症状だと思います。
私が最初に発症したのは平日の仕事中で、もうどうしたら良いのか分からず、過呼吸気味になり異常な発汗と手足の震えを感じながら、何も考えられなくなっていました。例えるなら、悪夢が現実にでもなったかのような感覚に襲われるのです。
さらに発症してすぐの頃は、1日に数回はこの発作が出てしまう状態。これが数日は続いていたので、今でも一番ツラかった症状です。
ただし、実際にはパニック発作であれば死に至ることはありません。ほとんどの場合、数分でピークに達し、10-30分前後で激しい症状はおさまっていきます。時間が経つと、まるで無かったかのように症状は消えていきます。ここが当事者でない方には理解しづらいポイントの一つです。
もしパニック発作となった友人がいたら、その時はそっと人のいない所へ移動させてあげて、しばらく落ち着くまで休ませてあげてください。
また、今現在、私自身はこのパニック発作を薬で抑えられている状態です。そのため、薬さえ飲んでいれば、日常生活でパニック発作が起こることはほぼない状態にまでなっています。
予期不安
予期不安とは、「またパニック発作がおきるのではないか」と過度な不安状態になることです。
この症状が強く出てくると、パニック発作ほどの苦しさはないものの、強い不安感から何も手に付かない、あるいは動けないような状態が続きます。
この不安感への対処を練習する治療法もあります。不安になる自分を客観視できて、それでも大丈夫だと思えるようになると、日常生活への支障はなくなってくるようです。
私自身、この予期不安にはよく襲われてしまいます。ただ私はまだ、予期不安へ対処する方法を身につけられていません。とにかく精神的に安定するまで横にでもなって休息する、といった対処しか出来ない状況です。ただ、薬を増やしたり変えたりしているうちに、徐々にこの不安感は小さくなってきたように感じます。
友人や第三者からサポートできることは、あまりないように感じます。あくまで私の経験上ですが、予期不安が起きてしまうと、何を言われても余計に不安になるだけなのです。
しばらくそっとしておいてもらい、回復したら普通に接してもらえると助かります。
広場恐怖
過去、パニック発作を経験した状況・場所に、強い不安や恐怖を感じてしまう状態です。
例えば車の中、電車、人混みなどを避けるようになります。あるいは、歯医者や美容院といった、閉鎖的な場所も広場恐怖が起こりやすいようです。
パニック障害となっても、中には広場恐怖を全く感じない人もいます。しかし、強い広場恐怖を感じるようになると、ひとりで外出することが困難となり、学校や会社にも行けなくなります。
私の場合、この広場恐怖は少ない方だと思います。お風呂と飲食店でパニック発作気味になったのがトラウマで、そこは少し苦手となっています。それでも、薬のおかげか何とか回避せずに耐えられるレベルです。あとは人混みにも少し不安感を煽られますが、よほど密なところでない限り1人でも出かけることが出来ます。しかしここは人によっては深刻な影響を与えている症状だと思います。
症状によっては、一歩も外出できないようなこともあるでしょう。そういった方からのサポートを求める声がかかった場合には、同伴して頂けるとものすごく心強いと思います。
うつ症状
こちらは厳密には、パニック障害の症状ではありません。ただパニック障害と、うつ病やうつ状態の併発率は50%を超えるとも言われています。
これはパニック障害で落ち込み、うつ状態になりやすいから、というだけではありません。パニック障害もうつ病も、脳内セロトニンの働きの低下が関係しているからです。つまり、これらは併発しやすいメカニズムになっているのです。
うつ病については、パニック障害よりもよく知られているところですが、
- 憂うつになり気分が沈む
- 何をしても楽しくない
- 食欲がない
- 眠れない
- 自分には価値がないと感じる
などの症状があらわれます。
私も知識では知っていたものの、想像以上にツラい症状であることを実感しています。何をしても楽しくない、というよりは、何も考えられない、一歩も動けない、の方が感覚としては近いです。あらゆる感情や思考が無くなった。そんな感覚です。
私の場合、抗うつ剤を飲み始めて数週間が経ちました。ようやく薬が効いてきたのか、うつ状態になる頻度は減ってきました。ただ、食欲は全くなくなっています。毎日何か食べなきゃ、と無理に食べさせている感覚ですね。
焦らずゆっくり治療する
「パニック障害は必ず治る。」
私の主治医はそう断言してくれました。ただし、焦らずゆっくり治療するよう、助言して頂きました。
同じ病に悩まれている方、私と一緒に少しづつ治療していきましょう。私も何かと焦ってしまうことが多いですが、この病気はどうやら時間が解決してくれることも多くあります。
将来のことは、将来の自分に悩んでもらいましょう。今はただ休むこと。治療に専念すべき時です。
もし家族や友達、あるいは会社や学校など、近しい関係の方の中にパニック障害で悩まれている方がいれば、どうか長い目で見守ってあげてください。ゆっくり時間をかけて、休ませることで治る病気なのです。完全に薬なしで症状が出ないレベルに回復するには、数年以上かかることもあるそうです。
私の記事で、少しでも何か気づきがあったら幸いです。
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